い ろ な ぶ り

tsubaki rocka
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デザインフェスタとわたし


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 17時過ぎ、あと2時間で閉会という頃、通路の人通りも少なくなってきた。
座っていた椅子を畳んで、床に敷いた風呂敷の上にあぐらをかいた。静かな自分のブース、
明るい音楽が流れる向かいのブース、往来の人の足元。大袈裟だけれども、死ぬんなら今だ、
と思った。自分はこのために生まれてきたなあ、この静かで勝手な興奮が、自分の心身に
とって一番の喜びなんだと思った。

 デザインフェスタのことはなんとなく知っていた。
 でも、学生の頃は絵から遠ざかっていたし、社会人になってからは土日を自由には休めな
かったこともあり、行くこともなかった。それが去年、長い長い人生の夏休みを強引にもぎ
とって、そこからいろんなことを始めたりダメになったりまた始めたり、ジタバタしながら、
2011年11月13日、ビックサイトで自分の描いた絵を展示していた。自分でつけた自
分の名前で呼ばれながら。

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 自分が何をするのが好きで、何をしたら喜ぶのか、何となくは知っていた。でも、きちん
とそれを確かめたことはなかった。事情があって少ししかブースにいることができなかった
けれど、とにかくこの日はわたしにとってとてもとても象徴的で、大切な一日になった。夏
休みのもぎとり方には今でもしかめ面をする他ないけれど、そこから一年の間の自分には本
当に驚いている。26年間生きてきた中で、一番自由で、面白くて、何より物事を自分で決
めた、そういう一年だったと思う。

 デザインフェスタ当日は外せない用事ができてしまったので、イベントに慣れていて、わ
たしの事を良く理解してくれるういのたんに無理を言ってお留守番をしてもらった。中学の
同級生で、この頃よく遊ぶようになった友人。こんな日が来るとは正直思っていなかった。
彼女の都合がつかなかったら、参加は中止にするつもりだった。
 
 両親には始めから終わりまでとにかく手伝ってもらって、迷惑をかけた。これまで展示な
んてしたこともなければ、こういうことを一緒にしてきた友達もいなかったから、準備に入
ると一人で頭を抱えるばかりだった。どうしたらいいか分からなかった。大道具は日用大工
の得意な父とその友人達に助けてもらって、当日はアングルを使って立派な壁を建てられた。
母も、ちょっと体調の優れない時だったけれど、当日が楽しみだ、設営が終わったらいろん
なブースを回るんだと、ずっと楽しそうに応援してくれて、たくさん手伝ってくれた。
 子供の頃は割とよくできる子で、大学も望み通りのところへ入り、曲がりなりにも就職を
して、ずっと落ちぶれずに行くはずだった娘が突然転落していく様子を見るのは本当に辛かっ
ただろうし、今もおんぶに抱っこで申し訳ないのだけれど、ブースまで会いに来てくれた人
たちと話すわたしを、両親は少し離れたところから嬉しそうに眺めていた。朝ビックサイト
の駐車場に着いたときに父が言った、「頭のおかしい娘がいなかったら、こんな日はこなかっ
たな」という言葉が妙に嬉しかった。そうだね、わたしもこういう両親がいなかったら、こ
んな日を手に入れることはできなかったよ。

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 生きていると苦しいことや間違いや後悔ばっかり湧いてくる。けどそれはほとんどいつか
の自分が選択して生んだものばかりなんだと思う。何がきっかけになるか、そんなの分から
ないけれど、いつだって何かを選んで、決めて、未来に投げている。そして、嬉しいことや
発見や前進を得られるかどうかは、きっと今この瞬間の自分にかかってる。いつかの自分が
やったヘマを、今この瞬間の自分なら挽回できるかもしれない。あの時やらなかったことを、
今の自分なら試すことができる。ダメでも次の瞬間の自分がいる。たくさんやらずにきてし
まったことがあるから、これからいっぱいやってみたいと思う。きっと、前の自分の尻拭い
をしたり、立ち止まりながら生きていくんだと思う。そういうのが怖くてこれまで避けてき
た事ばかりだから。

 デザインフェスタの話から逸れてしまったけれど、デザインフェスタ自体はもちろん、自
分で出展を決めて資金をひり出して(時間だけは腐るほどあったんだけど)、憧れていたイ
ベント当日を迎えられて、その上大成功だったっていう事がとにかくエキサイティングで、
お婆ちゃんになったらこの話ばかりを延々繰り返すようになるんじゃないかなってくらい衝
撃的だったんです。

 本当にいろんな人の支えがあってできた事だし、かなり強引で迷惑をかけたんだけど、あ
りがとう、わたしはとっても楽しかったです。

 5月のデザインフェスタに一緒に行ってくれて、六花ちゃんならできるよと背中を押して
くれたバスちも、本当にありがとう。ああしたいこうしたいと言うだけの支離滅裂な話をひ
たすら聞いてくれた彼にも感謝。

 ツイッターやすこんぶさんでわたしを知って会いに来てくれた人たち、通りすがりに足を
止めてくれた人たち、本当にありがとう。とても嬉しかったです。


 またお目にかかれる日を楽しみに、良い絵を描けるよう健やかに暮らします。


| 椿六花 | デザインフェスタ | 04:54 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
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